今回は、こんな疑問にお答えします。
- スポーツインストラクターが確定申告で注意したいこと4つ
- スポーツインストラクターの報酬仕訳例と、仕訳手順を解説
- スポーツインストラクターが迷いがちな経費の勘定科目10選
ネットで調べても、普段使わない単語ばかりでむずかしいのではないか?と感じてる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は確定申告での注意点と、具体的に報酬の仕訳例と計算方法についても解説していきます。
スポーツインストラクターが確定申告で注意したいこと4つ

スポーツクラブから報酬として銀行口座に振り込まれた金額を、そのまま売上にしてはいけません。
なぜなら振り込まれた金額は税金が引かれた金額だったり、交通費の計算方法がスポーツクラブごとに違ったりするからです。
具体的にどういうことか、4つのケースを紹介します。
- 振り込まれた報酬は、源泉徴収税が引かれている
- 交通費の扱い方がスポーツクラブによって異なる
- 昨年12月に働いた分を1月の売上にも含める
- 給与で受け取っている場合は、事業の売上にならない
振り込まれた報酬は、源泉徴収税が引かれている
銀行口座に振り込まれた報酬は、実際のレッスンフィーから税金が引かれた後の金額です。
その理由は、スポーツクラブが源泉徴収という税金を、僕たちの代わりに一旦納めているため。
たとえば70,000万円分のレッスンをしても、振り込まれる金額が64,000円だったりします。
詳しく知りたいときは国税庁「源泉徴収義務者とは」
交通費の扱い方がスポーツクラブによって異なる
交通費を報酬とは分けて計算する必要があります。
その理由は、交通費を含めて働いた金額にすると、税金も交通費の分だけ多くなるため。
交通費の扱い方は、各スポーツクラブによって異なります。
- レッスンフィーと交通費を分けて、レッスンフィーにだけ課税している
- レッスンフィーと交通費を分けているが、合計金額に課税している
- レッスンフィーの中に交通費が含まれている
昨年12月に働いた分を1月の売上にも含める
1月の売上には、昨年12月に働いた分の報酬も含めます。
昨年の売上に入っていないので、今年の売上として申告する必要があるからです。
給与で受け取っている場合は、事業の売上にならない
報酬ではなく「給与」で支払われる場合は、売り上げに入れません。
「給与」は契約社員と同じで事業所得にならないためです。
たとえば下記のようなスポーツクラブ
- 「業務委託契約」ではなく「アルバイト契約」
- 2月ころ「支払調書」ではなく「給与所得の源泉徴収票」を受け取る
スポーツインストラクターの報酬仕訳例と、仕訳手順を解説

振り込まれた金額から、どのように源泉徴収税額や売掛金、売上を計算するのかを解説。
そして実際の仕訳例を4つのケースで紹介します。
- 源泉徴収税を逆算した仕訳例
- 交通費を報酬と分けて計算されない場合の仕訳例
- 昨年12月に働いた分を1月の売上に含めた仕訳例
- 報酬ではなく「給与」で支払われる場合の仕訳例
簡単に「源泉徴収税額」と「売掛金」を計算する方法を解説
銀行口座に入金された報酬から、「源泉徴収税額」と「売掛金」を逆算します。
源泉徴収税額を計算できるこちらのサイトを使うと簡単です。
計算できるサイトkeisan「源泉徴収税を手取額から逆算」
計算サイトを使って計算してみましょう。
- 「手取り額」欄に「普通預金への入金額から交通費を引いた額」を入力
- 消費税を「税込み)にチェック
- 「計算」を選択
- 「源泉徴収税額」が表示される
- 「支払金額」欄に表示されている金額が「売掛金」
源泉徴収税を逆算した仕訳例
- 交通費は報酬と別計算
- 20日締め翌月末払い
仕訳例① スポーツクラブA

それぞれの項目の解説
入金された金額

- 3月31日の入金は、2月21日~3月20日分の報酬です。
- 「借方」に勘定科目「普通預金」で記入。
源泉徴収税

- 計算した源泉徴収税の金額は「事業主貸」です。
- 「借方」に勘定科目「事業主貸」で記入。
売掛金

- 売掛金は実際に働いたけど、まだ報酬を受け取っていない金額のことです。
- 20日締めのクラブなので3月20日に、「借方」に勘定科目「売掛金」で計算した売掛金を記入。
- 報酬を受け取った3月31日には、「貸方」に「売掛金」を同じ金額で記入します。
売上高

- 実際に報酬が支払われたら記入。
- 「貸方」に勘定科目「売上高」で、売掛金と同じ日付・金額を記入します。
旅費交通費

- 2月21日~3月20日の交通費を記入。
- 「借方」に勘定科目「旅費交通費」で、それぞれの日付・金額を記入。
報酬で貰える旅費交通費

- 報酬と交通費を分けて計算しているスポーツクラブの場合は、「貸方」に勘定科目「売上高」に交通費の合計額を記入。
- 「売上高」の補助科目を「旅費交通費」とすると、「売上高」の中でも「交通費を立て替えた金額分」が明確です。
交通費を報酬と分けて計算されない場合の仕訳例
- 交通費は報酬とまとめて計算
- 月末締め翌月25日払い
仕訳例② スポーツクラブB

それぞれの項目の解説
入金された金額

2月25日の入金は、1月1日~1月31日分の報酬です。
売掛金

日付は、月末締めのクラブなので1月31日になります。
報酬で貰える旅費交通費

報酬と交通費をまとめて計算しているスポーツクラブの場合は、「貸方」に勘定科目「売上高」に交通費の合計額を記入します。
昨年12月に働いた分を1月の売上に含めた仕訳例
- 交通費は報酬と別計算
- 20日締め翌月末払い
仕訳例③ スポーツクラブA

それぞれの項目の解説
入金された金額

- 1月29日の入金は、12月21日~1月20日分の報酬です。
- 昨年12月分の報酬も振り込まれています。
売掛金

- 売掛金は1月分のみ、1月1日~1月20日分です。
- 大変ですが1日ずつレッスンフィーを計算します。
12月分の売上高

- 「1月に入金された金額」と「源泉徴収税額」を合計します。
- 合計した金額から、「売掛金」と「報酬で貰える旅費交通費」を引いた金額が12月分の売上です。
報酬ではなく「給与」で支払われる場合の仕訳例
給与所得の仕訳ポイントは4つあります。
- 交通費を経費にすることができません
- 入金されたときは「事業主借」とし、売上に入れません
- 源泉徴収税額を補助科目で管理する必要はありません
- 確定申告書に「源泉徴収票」の内容を記入します
確定申告書の「所得の内訳」に「源泉徴収票」に記載されている、給与と源泉徴収税額を記入し、種目は「給料・賞与」になります。
記入した給与が「確定申告書B」の「収入金額等の給与(カ)の欄」に反映されているか確認しましょう。
スポーツインストラクターが迷いがちな経費の勘定科目10選

迷いがちな経費の勘定科目の紹介です。
- 「賃貸住宅の保証料」の勘定科目
- 10万円を超える消耗品
- 自分で使う生活用品を購入した
- 現金で事業用品を購入した
- 銀行口座の普通預金利息
- 賠償責任保険料を支払った
- スイカ(Suica)での支払い
- セミナーの参加費
- LINEペイで報酬を受け取った
- 月次給付金が振り込まれた
「賃貸住宅の保証料」の勘定科目
自宅兼事業所としている賃貸住宅の保証料は、勘定科目「支払手数料」です。
10万円を超える消耗品
青色申告はの場合は、10~30万円の消耗品を勘定科目「少額減価償却資産」にするのがおすすめです。
自分で使う生活用品を購入した
プライベートの購入品の勘定科目は「事業主貸」です。
現金で事業用品を購入した
現金で事業用品を購入したときの勘定科目は「消耗品」です。
貸方を「現金」ではなく「事業主借」にするのをおすすめします。
ケース | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
現金で事業用品を購入した | 消耗品 | 事業主借 |
銀行口座の普通預金利息
普通預金利息の勘定科目は「事業主借」です。
賠償責任保険料を支払った
賠償責任保険料の勘定科目は「損害保険料」として、経費になります
スイカ(Suica)での支払い
事業用とプライベート用を分けていないスイカで支払った場合の仕訳例です。
- オートチャージしたときの勘定科目は「事業主貸」
- 電車やタクシーを利用したときの勘定科目は「旅費交通費」
- 消耗品を購入したときの勘定科目は「消耗品費」
スイカ | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
オートチャージした | 事業主貸 | 未払金 |
電車やタクシーを利用した | 旅費交通費 | 事業主借 |
消耗品を購入した | 消耗品費 | 事業主借 |
セミナーの参加費
セミナーへ参加したときの勘定科目は「研修費」です。
LINEペイで報酬を受け取った
「LINEペイ送金」でパーソナルトレーニング料を受け取ったときの勘定科目は「LINE Pay残高」です。
もし「LINE Pay残高」を帳簿管理しない場合は「事業主貸」にします。
ケース | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
LINE Payを帳簿管理している | LINE Pay残高 | 売上高 |
LINE Payを帳簿管理しない | 事業主貸 | 売上高 |
月次給付金が振り込まれた
月次給付金の勘定科目は「雑収入」です。
確定申告の作業時間を減らす便利なもの

クラウド会計ソフトの導入をオススメします。
確定申告にかかる時間が大幅にカットできるだけでなく、収入と費用の推移が管理しやすいです。

まとめ:確定申告は1度しっかり仕訳すると次回から繰り返し使える。頑張っていきましょう!
今回は確定申告での注意点と、具体的に報酬の仕訳例と計算方法について解説していきました。
- スポーツインストラクターの報酬仕訳例と、仕訳手順
- 振り込まれた報酬は、源泉徴収税が引かれている
- 交通費の扱い方がスポーツクラブによって異なる
- 昨年12月に働いた分を1月の売上にも含める
- 給与で受け取っている場合は、事業の売上にならない
- スポーツインストラクターが迷いがちな経費の勘定科目10選
確定申告は普段やらない作業で大変なので、クラウド会計ソフトがあると便利。
以上、最後まで読んで頂きありがとうございます。
それでは、また~。